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消費税の仕入税額控除の改正

2011年7月27日 by seiwa

平成23年税制改正により、消費税も仕入税額控除と事業者免税点制度が改正されました。
今回は、このうち仕入税額控除の改正をご紹介いたします。

従前、課税売上割合が95%以上の事業者は、仕入に係る消費税額の全額を売上に係る消費税から控除することが出来ましたが、平成24年4月1日以後に開始する課税期間より下記の取扱いとなります。
当課税期間の課税売上高が
・5億円以下⇒従来通り、全額控除可
・5億円超 ⇒個別対応方式又は一括比例配分方式により仕入控除税額を計算

※課税期間が1年未満の場合は、年換算後の課税売上高で判定します。

<参考>
○個別対応方式
課税仕入を、課税資産の譲渡等にのみ要するもの(「課税売上対応」)、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの(「非課税売上対応」)、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(「共通対応」)に区分経理。
課税売上対応の消費税の全額と共通対応の消費税に課税売上割合を乗じた金額の合計額が仕入税額控除の金額となる。

○一括比例配分方式
課税仕入れに係る消費税の全額に課税売上割合を乗じた金額が仕入税額控除の金額となる。
区分経理していない場合の強制適用、又は採用後2年間の継続適用の縛りがある。

本改正が事業者に与える影響を例をあげて検討します。
<設例>
課税売上割合:95%
課税仕入れに係る消費税:5,000(内訳:課税売上対応4,000、共通対応1,000)

(1)従前
5,000(全額控除)

(2)改正後
個別対応方式又は一括比例配分方式により計算
①個別対応方式⇒4,950(4,000+1,000×95%)
②一括比例配分方式⇒4,750(5,000×95%)  ∴個別対応方式有利

従来から課税売上割合が95%以上の事業者は、実務的な対応として課税仕入れを区分経理していないことが少なくないかと思われます。区分経理していない場合は、「一括比例配分方式」が強制適用されますので、個別対応方式に比べて仕入税額控除の金額が200少なくなってしまいます。
また、2年継続適用の規定があるので、翌期も一括比例配分方式が適用されることになります。
改正法適用後の課税期間は、課税仕入れの区分経理を行い仕入税額控除で損をしないよう留意する必要があります。