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東日本大震災に関する災害損失特別勘定の取扱い

2011年6月2日 by seiwa

平成23年4月27日付で「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)」が公布・施行されました。

(法令・通達等の詳細は下記リンク先参照。)

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/tokurei/zeikin.htm

 また、これに先立ち、平成23年4月18日付で国税庁において、「 東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて(法令解釈通達)」が定められ、災害損失特別勘定の損金算入が認められることとなりました。

今回は、「災害損失特別勘定」の取扱いについて紹介したいと思います。

本来、法人税法における課税所得の計算上、別段の定めがあるものを除き、事業年度終了までに債務の確定しないものは損金算入ができないこととされています(法人税法第22条)。

つまり、例えば3月決算の会社が被災し、以後多額の修繕費用が発生するとしても、3月末までに修繕が完了しなければ損金として処理できないことになります。

 しかし、この度の震災の甚大な被害に鑑み、被災事業年度末までに修繕等が完了しないといった事情も予測されることから、災害損失特別勘定として損金経理することを要件に、次に掲げる費用のいずれか大きい金額を被災事業年度等(※)の損金に算入することが認められました。

 ⑴ 被災資産(法人税法第33条第2項((資産の評価損の損金算入))の規定の適用を受けたものを除く。)の被災事業年度等終了の日における価額がその帳簿価額に満たない場合のその差額に相当する金額

⑵ 被災資産について、災害のあった日から1年を経過する日までに支出すると見込まれる次に掲げる費用(以下「修繕費用等」という。)の見積額(被災事業年度等終了の日の翌日以後に支出すると見込まれるものに限る。)

   イ 被災資産の取壊し又は除去のために要する費用

   ロ 被災資産の原状回復のために要する費用(被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用を含む。)

   ハ 土砂その他の障害物の除去に要する費用その他これらに類する費用

   ニ 被災資産の損壊又は価値の減少を防止するために要する費用

 ※被災事業年度

災害のあった日の属する事業年度又は連結事業年度をいい、被災事業年度等につき法人税法に規定する仮決算による中間申告書を提出する場合において、当該中間申告対象期間が被災日を含むときは、当該中間申告対象期間に災害損失特別勘定に繰り入れることができます。

 被災事業年度において損金の額に算入した災害損失特別勘定の金額は、原則として災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度において益金の額に算入します。

なお、半年決算の会社などは、被災事業年度と1年経過事業年度との間に事業年度が存在することになります。この場合は、その事業年度において修繕費用等(保険金等の補填額を除く。)として損金の額に算入した金額の合計額相当を災害損失特別勘定の取崩しとして益金の額に算入します。

仮決算の中間申告において、下半期に修繕費用等を支出した場合も同様の取扱いとなります。